句集『七草の孤心』は、俳人照井三余氏の第一句集です。照井氏の俳号「三余」は、氏の父親の俳号 照井三余をそのまま継いだものです。
父、照井三余が北海道の寒村で開業医をしていたころは、まだ開拓の大地でした。
北海道を離れてから読んだ、照井三余Jr.の句から
黒かった雪 痛かった雪
北海道のように寒冷の地では、降ってくる雪は凍っていて、白ではなく黒く見えるのです。肌を出していようものなら、ばらばらと当たって痛い……。
照井三余の昭和を、一冊に封じ込め解き放った作品集です。
文:俳人 銀 畑二
ユニークな製本です。ひとつは、表2は鮮やかな水色を印刷し、白抜きでタイトルを入れました。開くとさらっと「七草の弧心」の文字が目に飛び込む。遊び心を刺激する演出です。
もうひとつは下(地)を折り返し、ポケットのような機能を設けました。
作句をするには、暮らしの中で気になったことをメモするのはもちろん、作品を見て感じたことを書き留める。そうした日々の積み重ねが大事です。「こうしたメモが挟めたら便利だな」と思いついてつくったものです。(デザイン 金田一デザイン)
(2021/8/20更新)