Swing
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ジュエリーと世界旅行への招待
著 池田 啓子 様

仕様

サイズ:A4判変形
    天地280mm×左右215mm
頁 数:164頁
印 刷:高精細オフセット4色印刷
製 本:PUR糊ソフトカバー製本
    表紙 UV特殊印刷
ジュエリーとそのデザインの根源だった旅の作品集

「“美しい”と言われるだけでなく、“楽しい”と言われるものを創りたい」。そうした思いを込めて40余年、ジュエリーデザイナーとして多くの作品を手がけてきた池田啓子様。日本を代表するジュエリーデザイナーのお一人です。

 『Swing ジュエリーと世界旅行への招待』は、その池田様の人生そのものであったジュエリーと、そのアイデアの根源だった旅をまとめたものです 。砂漠のシルクロードから草原のシルクロードや海のシルクロードはもちろん、アフリカやアメリカといった大陸、インドネシア諸島などの島々などまで……そこで何を感じ、どんな作品となったのか……。池田様にとって世界は絵巻物のようで、その続きが“見たくて、見たくて”と、持ち前の好奇心に駆られ、気がつけば渡航回数は100回を超したそうです。

 

 

デザインのこと

(デザイナー  テンテツキ氏より解説)

著者であるジュエリーデザイナーの池田さんの作品は、ディテールを見れば見るほど面白く、デザイナーのわたしは、その不思議な世界観に魅了されていきました。

例えば、アフリカのマリをテーマにした作品があります。頭の上にカゴを載せてものを運ぶマリの女性たち。その姿をネックレスにあしらう。敦煌に向かう砂漠の途中で出会った砂嵐を、大きく弧を描いたペンダントヘッドにして、そのまわりにラクダを配置したり。はたまたメソポタミアの遺蹟に見られるレリーフをモチーフに、ゴールドとラピスラズリで現代によみがえらせたりと、作品のストーリーを知るほどに池田啓子ワールドにはまっていったのです。

 

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以前にポジフィルムで撮影した写真が100点近くありました。旅先で池田さんが撮影したスナップも大量にありました。カタログのように作品写真だけを並べることもできますが、池田さまが旅を通して万象からインスピレーションを受けて創ったジュエリー作品を生き生きと見せたい。読者を池田さんとの世界旅行に誘うような流れをつくりたい。本のテーマや構成、デザインの方向性は、最初から明確でした。

 

本では、5つの地域に分けてジュエリーを紹介しています。各扉の用紙は、本文用紙とは色も質感も異なる「ヴィンテージゴールドのブロンド」という用紙を使用しています。未晒しのクラフト紙の片面に金のパウダーをコーティングした用紙で、渋みのあるざらっとした質感は、作品でも多く使われているつや消しゴールドにも似た風合いを連想させます。テーマに合った用紙を差し込むことで、目や手触りからもその世界観を豊かに伝えることができると思うのです。

 

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この扉をめくると、各地域で池田さんお気に入りの風景が写真で現れます。アフリカの場合は、サバンナの地平の向こうまで広がるシマウマとヌーの群れ。これは圧巻! 乾いた草いきれの中、その広大さは写真で切り取れるようなスケールではなかったとは思いますが、、、。

旅のイメージカットを経て、「トラベルノート」と名付けた旅のエッセイやスナップ写真とともに、97点のジュエリーを紹介しています。

 

 

 

ここで印刷のことに触れておきます。

印刷は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)の小さな点(=網点)の集合で再現されます。この網点が1インチ(2.54センチ)に何列並んでいるかによって精度が変わってきます。単位は「〜線」と言います。つまり、たくさん網点が並んでいるほど一つひとつの点のサイズは小さくなり、よりきめ細かい表現が可能になるのです。新聞は60~80線と網点が荒めで、通常の商業印刷は175線で刷られるのが一般的です。今回は、250線での高精細印刷です。これによって、細かい石のカット面や透明感などのディテールが緻密に再現されています。 網点が細かいため、印刷工程は非常にデリケート。印刷現場ではとても苦労していましたが、その再現性は感動に近いものがありました。

ただ、クラフト紙のように用紙の表面がガサガサして粗い場合には、網点が細かいことが仇になることもあるようで、中扉で使用した用紙「ヴィンテージゴールド」に限っては175線(裏面)で印刷しています。高精細であればあるほどいいということではなく、あくまで紙との相性だということは、今回僕もとても勉強になりました。

 

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奥付けページ(発行日、著者名などを入れる)には、池田さんが撮影した200枚近くの旅の写真を積み重ね、愛用の世界地図の上に置いて撮った写真を入れました。重ねた写真の一番上には、スーダンの砂漠をバックに撮った池田さんのポートレイトを。砂埃を避けるために顔に巻いたストールが風にたなびいています。旅人らしさが現れた素敵な写真で今回の「世界旅行」を締めくくりました。

 

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本づくりは、映画に似ているかもしれません。。

印象的なシークエンスではじまり、余韻をもたせたエンディングで終幕。

ジャッキー・チェーンの映画のように、メイキングを見せるエンディングロールもあります。

奥付けは通常は文字情報だけの場合が多いですが、読後感にも関わってくる重要なシーンです。

表紙は、通常のオフセット印刷に加えて、「コールドフォイル」というメタリック感のある印刷と、「擬似エンボス」という質感の異なる2種類の透明ニスを使った加工になっています。まさにこの本にふさわしい加工法で、川井社長の強い薦めもあって実現することができました。コールドフォイルの詳細については、別途ブログでご紹介できればと思います。簡単に言うと、ゴールドのキラっとした光沢感と、ツルツルとザラザラという質感をプラスしたのです。

 

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池田さんの作品の特徴をよく表していて、かつ造形が美しいニムルド遺蹟をモチーフにしたネックレスを全体の顔に持ってくることにしました。度重なる打合せを通して、池田さんがこの作品に特別な思い入れがあることも知っていました。つや消しのゴールドとネイビーブルーのラピスラズリのコントラストが鮮やか。そして、何よりヘッドに彫られた鷲の頭と翼を持つ精霊(有翼鷲頭精霊像浮彫)が、「超スゲー」なのです。これ以上に適切な表現は見つかりません。身に着けることで新たなチャクラが開くようなパワーを感じます

同時に、チグリス・ユーフラテスの古代地図を背景に薄く入れて、このジュエリーに込められた悠久の時間の流れや古代人の営みの物語が溢れ出すような、そんなイメージで。

これらの表紙の加工は、やってみないと分からない部分がありました。表紙の印刷加工をお願いした川崎の情報印刷さんも同じです。そんな中、「じゃあやってみましょう」と快諾して頂いた池田さん。有り難く思うとともに、ジュエリーデザイナーとして、また旅人としての飽くなき冒険心を見た気がしたのでした。

 

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【さらにお見せします】

●旅の始まりは敦煌からだった

 

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●アジアカテゴリーで掲載した作品(ウズベキスタンとインド)

 

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●中東の旅

 

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●池田様の旅の足跡を世界地図で紹介

 

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●アフリカ・マリで出会った子供たち

 

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